つれづれ日記 −  隣の猫 [96/11/01]

わが家は、犬や猫には縁がないけれど、鳥にはずいぶん縁があります。

子どもの頃から、縁日で買ってきたヒヨコを飼って立派な雄鶏に 育て上げてしまったり、巣から落ちてきたスズメを何度も育てたり、 文鳥を飼ってみたり…。親戚が小鳥屋(本業は貴金属店なのだが…)を やっていたことも大きな要因だったかもしれないけれど、鳥を飼うことが 多かったのです。

その中の1羽が“たからもの” のページに載せた“じゅんちゃん” でした。頭が黄色で身体が緑色、普通に店に売られているセキセイインコ と比べると、頭から首にかけての縞模様が少なくて、(飼い主バカの私から すれば)どんな店の店先にいるインコよりハンサムな子だったんです。

インコには、人間にうつる病原菌を持っている可能性があるから 食べ物を口移しであげたらいけないとか、食事の時に放し飼いに してはいけないとか、物の本には書いてあるけれど、わが家では ぜんぜん気にせずに、頻繁にかごから出して飼っていました。

近所には飼い猫や野良猫がたくさんいました。でも、家に上がり込んで くる猫はいなかったし、鳥かごを外に出すこともなかったから、 そんなことが起こるとは思ってもいなかったのです。

それは、9月のはじめのことでした。私は外出していて家には いませんでした。たしか、休みの日のことだったのだと思います。 まだまだ残暑の 時期で、2階の窓を開けてあったのです。とはいえ、 鳥かごは1階の居間ですし、今まで猫が家に上がり込んできたことは なかったので誰も気にしていませんでした。

じゅんちゃんの悲鳴(?)を聞きつけて弟が駆けつけたとき、 そこには鳥かごのなかに前足をつっこんでいる猫がいたそうです。

隣の家の飼い猫でした。弟は、さんざん猫を追い回したそうです。 猫も必至なら弟も必至だったのでしょう。恐ろしい形相で迫ったに 違いありません。

そのあと、隣の家の家族が“○○ちゃん、降りてらっしゃい”と 何度も何度も呼んでいるのが聞こえました。猫の○○ちゃんは、 2階の屋根に登ったまま、しばらく降りてこなくなってしまった ようでした。

隣の家には何も言いませんでした。隣の猫のせいでじゅんちゃんが 逝ってしまったことも、弟が追い回したから猫がおびえて屋根から 降りてこなくなったことも…。

じゅんちゃんを引っかいたあの猫は嫌いです。

でも、私は猫が嫌いにはなれなかったのです。飼っている人にとっては じゅんちゃんも猫も、同じ1つの命なのですから…。

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